
フリーランス(個人事業主)をしてると仕事がぽっかり空いてしまい、本当に暇っていうときがたまにあります。
忙しい時期に旧に仕事がぽっかり空いてしまったんです。勉強とかをする気にもならないし、ってことで、前々から興味のあったライブ会場(イベント会場)の設営に行ってみたんです。いわゆる日雇い労働。
潜入ルポって感じですが、結論から言うと地獄だったので二度と行きたくない!!というものでした。
※設営のお仕事をされてる方を貶める気は一切ありません、あくまで体験談と感想です
読み飛ばせるもくじ
1週間ほど仕事が空いてしまった
この話、別に10年前とかそういうことじゃないです、ときは2016年の冬。つまり1年前。34歳、リアルに「生活に困ってるのか?」って年齢ですよね。笑
当時、わりと忙しい時期だったんですよ。それで、「来週はこの案件につきっきりになるな」という状況でスケジュール確保してたんです。でもそれが直前でキャンセル。
ブログ書きまくろう!とか新規サービス考えよう!みたいなモチベーションに全然ならず、どうせなら今まで体験したことないことしてみよう、と思ったんです。
一人旅とかは直前過ぎて飛行機代やホテル代が高いなぁ〜って考えてるときに思い出したんですよ、ライブ会場の設営っていうバイトをしてみたかったことを。
フリーター時代から抱くライブ会場(イベント会場)設営に対する勝手な憧れ

僕は20代の前半、フリーターとして5年ほど過ごしました。ラブホの清掃や夜中のガソリンスタンド、服屋の店員と、興味のおもむくままに働いてました。いや〜貧乏だったけど楽しかった!
そんな僕ですが、ずっとイベント会場の設営というバイトに憧れがあったんですよ。親父が大工で僕も工業高校出身なので組み立てたりDIYするの好きだから、っていう理由がひとつ。もう一つは
「コンサート会場の設営ってミュージシャンに会えるんじゃないの!?アイドル系なら女子率高いんかな?ってことは打ち上げでキャッキャウフフなんやろ?!」
と、ミーハーでバラ色、あるいはピンク色のニヤニヤ妄想をしてたんですよね。それを思い出し、さっそく日雇いバイトのサイトに登録。何事も体験です。
このサイトではないんですがまあこういうの
偶然にもEX◯LEのコンサート会場の設営バイトが見つかった!!!
一週間以内に働けるライブ会場設営の日雇いバイトを探すと、なんとあの国民的グループの設営が見つかりました。残念ながらEX◯LEに興味は無いんですが、これは女子率の高さも期待できそうだ!という不純な動機に「嫁さんごめんよ!」と思いながら応募し即採用。笑
さっそく数日後に1日だけ参加することになり、軍手などを買いに行きました。
ちなみに、9時〜21時で休憩2時間 15,000円という労働条件。まあ悪くないかなと。
8時半に集合し、年下に君付けで呼ばれる
ここからがバイトの話。
当日、点呼があるので8時半に現地集合。ちょっと道に迷ってしまい息を切らしながら現地到着。若者ばかりかと思ったんですが、周りをみると34歳の僕より一回りくらい年上かな?っていうおじさんもちらほら。若者ばかりだと思ったら同世代〜年上っぽい人たちが8割。
しかも一人残らず男。
「女の子は別の場所で集合なのかもな。着替えとかあるかもしれないし」
そんなことを思いつつ、登録した求人サービスごとに集まり、点呼されます。見るからにU25(25歳以下)というお兄ちゃんに君付けで呼ばれ、「はい」と返事する34歳…。いや、いいんですよ。そんなプライドなんか遠の昔に捨ててます。
体育館みたいなタコ部屋で着替えと説明

点呼が終わると控室に案内されました。小学校の体育館みたいなところに、これまた(卒業式の時に)体育館に敷かれる緑色のナイロンシート。そこで着替えるんですが、すごい寒い。記憶では僕含め50人位は日雇い労働者達がいました。
そして着替えが終わると作業の説明。全体の安全説明では
- 気をつけないと指無くなりますよ
- 足の先潰した人いますから
- 何かあったら絶対にすぐ言ってくださいね
という感じの話。そのあとはカラーテープの貼り付けられたヘルメットを取ります。これが早い者勝ちで、カラーごとに担当作業が決まってるんです。大通具、小道具、照明etc。
担当作業が早いもの順ってどういうことよ?!とか思いながら、僕は結局大道具班。
大道具班の仕事

僕が経験した大道具の仕事をざっくり言うと、クソ重たい機材を運び込み、必要な箇所に並べ、ネジを仮止めをし、舞台の骨組みなどを作ります。
僕らはあくまで搬入と配置と仮止めまでで、実際のネジ締めなどは職人(下請けの業者)さんたちがゴリゴリ作業します。そしてそのあと、クソ重たいパーツたちを持ち上げたり運んだり…。
搬入編
舞台裏なんて見たこともなかったですが、会場は本当にただの箱。なんにもないんです。そこに鉄の塊(鉄骨)を大量に運び込みどんどん組み立てていきます。その最初の搬入からもう重い重い。坂道になってるから転げ落ちないように5人位で押さえながら台車で運びます。たぶん300kgとか平気であるやつを。
もしここでミスったら大事故で死人が出るレベル。
ちなみに、僕は一瞬足の先を轢かれてしまいました。特に痛みはなかったんでギリギリセーフかと思ったんですが、親指の爪の先が少しなくなってました。ちょっとですけどね。
そんなことありつつ、坂を駆け上がり、下まで運びまた駆け上がる、の繰り返し。
並べる編
1時間くらいかけて重たい機材をすべて運び込みます。時間的にはまだ朝の10時過ぎとかなんですが、結構ヘトヘト。でも休めません。
鉄骨たちや様々な部品を指示通りに並べるんですが、ここからは職人さん1人に対し僕らが5人〜10人くらいつきます。後ほど書きますが、この職人さんたちの僕らに対する扱いがもはや奴隷でつらかった…。
仮止め作業編
次に並べた鉄骨にぶっといネジを手で仮止めしていきます。スピード勝負でせかされつつ、どんどん作業。僕はこういう作業は得意だったんでいいんですが、ぶきっちょな人はボロカスに怒鳴られてました。
組み立て編
これが一番ツライ。とにかくツライ時間でした。数百キロはある鉄の固まりを人力で持ち上げたりするんです。バランス崩したら本当に危険なので、この時ばかりは職人さんたちも頑張れ頑張れと応援。
アイドルのコンサートで回転するステージとか使ってるじゃないですか。あれって湾曲したクソ重たい鉄板を、指定の場所に配置しないといけないんですね。それを指示係が間違え行ったり来たり。
34年生きてきてあんなに重たいものはもったことないです。北斗の拳のシュウのような状態です、マジで。
主な作業はこんな具合。10代のころに肉体労働のバイトもしてたんですが、比べ物にならない疲労感でしたね。
肉体的にことよりも辛かったこと
肉体的な疲労については覚悟の上だったんでいいんですが、それ以外の部分で気持ち的に辛かったんです。
ゴミクズのように扱われる

※すべての日雇いがこうってわけじゃないです、あくまで僕が体験した現場の話
言い過ぎかもしれませんが、奴隷です。名前なんて呼ばれません。みんな
「バイト君」
と呼ばれます。10人ぐらい固まってる僕らに対して
「おい、バイト君3人、こっちこい」
と若い職人さんに言われます。そうするとすぐに3人走っていかないといけないんですね。ここで走らないやつは目をつけられ、あとで絡まれます。
僕がついた職人さん、小さい声でジョークを言ったらしいんですか、全然聞き取れず反応が遅れたんです。そしたら
「何おまえ、今のギャグおもろなかったんか?あん?調子乗ってんのか?もうええわ、あっちいけ」
と。
いやいや、こんなうるさい中でそんな声聞こえんわ!!!!!と思いつつ、「すみません、すみません」と謝罪。でも結局あっちいけと言われましたよ。怒りとか超えて悲しすぎた…。
年下から嫌ないじられ方をずっとする
さらに、
「お父さん、頑張ってや〜。子供ちゃんのためにもしっかり働かんとなぁwww こんな仕事して人生大変やなぁwwww」
と、(子供がいるかどうかなんて一言も言ってないのに)小馬鹿にした感じでいじられてツラミがすごかった。
僕だけじゃなく、30歳を過ぎてそうな人たちに向かってそういう嫌味を言うんです。その他にも罵詈雑言というかストレス発散に僕や他のバイト君をいびってきてました。
事故は本当に危ないから、そういうミスでボロクソ怒鳴られるのは仕方ないと思うんですよ。
でも弱い立場へのイビリやイジりは見てるだけでも嫌な気分になるし、そういうのしてくるほとんどの職人が20代中頃で、僕の10個下くらいでした。いや〜なかなかきつかった。
弱いものがさらに弱いものを叩くイジメが発生

日雇い労働者の中に、なにやらずいぶん声の大きな人が二人いました。みるからにジャイアン的な人で、同じ日雇いのくせに
「お前らちゃんと走れや。ほんましょうもないわ」
と、誰にいうでもなく全体に向かって言うんですよ。みんな走ってるなか、ちんたら歩きながら。よくよく見ると元職人らしく、日雇いにもよく参加してる常連バイト(プロバイト)でした。
そんな人もいる一方で、
「あんた絶対こういうとこ来たらあかんタイプやん、なんで来たんや…」
という、言い方悪いですが引きこもりの人っぽい、まともに人と喋れない人がいました。案の定、やたらミスするし走るのも遅い。それを見ていたジャイアンが
「おい、お前まじヤル気あんのか?仕事なめてんちゃうん?なんでお前みたいなクソとオレが同じ時給やねん。帰れや!」
と、いきなりデカイ声で威嚇を始めたんです。それまでは特定の人物には何も言わず、ヤジを飛ばしてただけなのに。その後もずっとネチネチいじわるなことを言ってて、
『弱い者達が夕暮れ さらに弱い者をたたく』
っていうまさにブルーハーツ状態。ジャイアン野郎だって僕らと同じ立場なのに…。(ちなみにその後、職人さんたちから「おい、お前経験者か知らんけど全然やってへんやろ。なめんなよ、走れや」と言われ謝罪してました)
休憩時間は10分程度
休憩は昼と夕方1時間ずつって聞いてたんですけどね、どっちも10分だけ。冷めた弁当が配られお茶飲んだら即労働です。さっきのジャイアンなどはタバコを吸う口実で1時間おきにサボってるんですが、こっちはタバコ吸わないしひたすら働いてました。
終了時間は終電時間
これ辛かったなぁ…。もともと21時で終わるって聞いてたんですが、なぜか夕方の休憩時に名前の書かれた小さい紙を渡されるんですよ。
横の人のも見せてもらうと23:13とか23:35と書かれてます。聞くと、最寄り駅から自宅まで帰れる最終の時間。これはただの親切で教えてくれてるわけはなく
「あなたの就業時間は、そこに書いてある時間の15分前です」
という、驚きの通知書だったんです。おいおい、まじかよ…と。21時終わりって聞いてたのに、終電までこれやんの?!と。
ただ結局、終電よりは早く終わり、22時半くらいに解散となりました。(残業分はもらえた)
当然打ち上げなんてものは無し。誰一人名前がわからないまま一日働き終わりました。
追記:撤収作業はさらに地獄らしい…
Twitterでこんな情報を頂きました。(ゆんたくさん、ありがとうございます!)
https://twitter.com/yuntaku_94born/status/922948431450054656
そうだ、そうだった。確かに周りの経験者たちが「これ、撤収のほうが時間厳しいからキツイんよなぁ」と会話してました。
※経験者のかた、もし経験談などあれば掲載しますのでTwitterで @hanaya111 まで情報お待ちしております
まとめ
女子バイトさんはいませんでしたし、アーティストにももちろん会えませんでした。建設現場で働いてるのと相違ありませんでしたね。
そして何より、言葉の暴力というかイビリやイジメのような構図が嫌な感じでした。
でも得たものもありますよ。この経験のおかげで
「フリーランスの仕事がダメなら肉体労働でもなんでもやるわ」
なんていうキレイゴトは言わないことにしました。
「何がなんでもオレは自分の仕事で食っていくぞ〜〜〜〜!!!!!!!!!!!!!!!!」
と、個人事業主としての思いを強く心に誓えたとても貴重な体験でした。
ちなみに、僕はバイトという仕組み自体は好きです。1日2日のバイトでは核心には迫れませんが、全く知らない世界を垣間見ることは出来ます。
この本、マグロ漁船から大麻の栽培・販売のプッシャーまでブラックな話満載で面白かった
20代の時にリゾートバイトっていうのは体験しておきたかったなぁ、なんて思うところではあります